第一松木川橋梁

特異な鉄骨組の構橋脚と素朴な鉄の桁(ガーダー)
 わたらせ渓谷鉄道(元足尾鉄道梶jには、ピントラスなどの歴史的な貴重な建造物が多く、第一松木川橋梁は、大正3年(1914) 8月、足尾鉄道が足尾〜足尾本山間を開業して全通した時点から、現場に存在し続けています。
 イギリス流の錬鉄製構橋脚(トレッスル様式)2基に支えられており、石造の橋脚の上に足を踏ん張る形で上路式プレートガーダーを支える外観には力強さが感じられます。明治期の橋梁は石造あるいは煉瓦積の橋脚に支えられる例が普通であり、特異な様式のトレッスルを採用したのは日本鉄道であります。
 第一松木川橋梁に用いられている橋脚には、イギリスの「パテント・シャフト・アンドアクスルトリー社.1888年」の製造銘板が付いていることから、日本鉄道盛岡〜八戸間の馬渕川とその支線に数多く用いられたものを、足尾鉄道の建設に伴い移設したものと言われています。
 上路式プレートガーダーは製造銘板から「汽車製造合資会社 明治44年」と表示されており、これらは足尾鉄道による自社発注品と思われます。
 なお、下流側の田元橋は製造銘板を欠くけれども、基本的な構造から見て、明治年間に輸入したか、国内製作されたアメリカ流のピン結合プラットトラスと判断されます。(当時の松木川は現在の渡良瀬川です)
 平成21年9月25日、国の文化審議会は、わたらせ渓谷鉄道の駅舎や橋、トンネルなど37の関連施設を国の有形文化財に登録するよう、文部科学相に答申しました。
 その登録物件の中に、第二渡良瀬川橋梁・第一松木川橋梁も含まれており、通常なら一か月程度で登録されます。
 運航する鉄道の一括登録は、鳥取県の若桜(わかさ)鉄道に次ぐ国内2例目となり、37施設の所在地はみどり市19件、桐生市6件、日光市の12件中に第二渡良瀬川橋梁と第一松木川橋梁が含まれました。
 その他の、日光市内(旧足尾町)の登録物件は次のとおりです。
 @ 足尾駅本屋および上り線プラットホーム{大正元年(1912)}
 A 足尾駅貨物上屋およびプラットホーム{大正元年(1912)}
 B 足尾駅下り線プラットホーム{大正元年(1912)}
 C 足尾駅手小荷物保管庫{昭和10年(1935)}
 D 足尾駅危険品庫{大正3年(1914)}
 E 渋川橋梁{大正元年(1912)}
 F 通洞駅本屋およびプラットホーム{大正元年(1912)}
 G 通洞橋梁{大正元年(1912)}
 H 有越沢橋梁{大正元年(1912)}
 I 笠松トンネル{大正元年(1912)}
(わたらせ渓谷鉄道樺供)





錬鉄製構橋脚(トレッスル様式)
 脚にはイギリスの「パテント・シャフト・アンド・アクスルトリー社」1888年の製造銘板が付いています。

第一松木川橋梁上を往く製錬所行き貨物列車
                      (目で見る足尾の百年)
田元橋
歩道専用橋(市道(旧足尾町) 松原田元線)
    形式:ピン結合プラットトラス
    橋長・幅員:46.0m×4.0m
     昭和2年(1927)架設


案 内 図
所 在 地 
管 理 者  
建設時期     


用途・目的
規   模 
日光市足尾町田元(渡良瀬川)
第三セクター・わたらせ渓谷鉄道
大正 3年(1914) 8月26日開通
 {錬鉄製構橋脚 明治21年(1888)製作}
 {プレート ガーダー 明治44年(1911)製作}
鉄道橋(わたらせ渓谷鉄道、足尾〜間藤間)
橋長・単復の別:56.45m 単線
径間数・支間長:@ 2×22.250m、A 1×9.601m
形式:上部工 @A上路プレートガーダー橋
     下部工 切石造の上に錬鉄製構橋脚(トレッスル様式)

参考文献
JR東日本の歴史的建造物・JR東日本歴史的建造物調査委員会
鉄の橋百選(近代日本のランドマーク)・成瀬輝男

目次に戻る 次は五行川橋梁へ