第二渡良瀬川橋梁

現存する唯一の国産クーパー形ピントラス橋
 足尾鉄道は、大正元年(1912) 12月に足尾〜桐生間が開通し、大正6年(1917)国鉄に買収され、昭和61年(1986)国鉄の分割民営化に伴い廃止されましたが、平成元年(1989) 3月に第三セクターわたらせ渓谷鉄道鰍ノ引き継がれ、沿線住民の足として活躍しています。
 第二渡良瀬川橋梁は、足尾銅山の産銅や資材、食料品などを輸送する目的で建設された足尾鉄道鰍ノよって、大正元年(1912)に架設されたトラス桁 2連・プレートガーダー1連で構成されており、トラス桁2連の製作は、カーネギーから輸入した鋼材を用いて東京石川島造船所が担当しました。端柱に取り付けられた銘板によって、明治44年(1911)の製作と判明しました。現位置に90年以上も存在し、そのうえ、国内製作の記録を保持しています。
 トラス桁2連は「クーパー形」の150ftピン結合トラスであって、この種の設計はアメリカの著名な橋梁技術者であるクーパーの設計によるものです。
 平成21年9月25日、国の文化審議会は、わたらせ渓谷鉄道の駅舎や橋、トンネルなど37の関連施設を国の有形文化財に登録するよう、文部科学相に答申しました。
 その登録物件の中に、第二渡良瀬川橋梁・第一松木川橋梁も含まれており、通常なら一か月程度で登録されます。
 運航する鉄道の一括登録は、鳥取県の若桜(わかさ)鉄道に次ぐ国内2例目となり、37施設の所在地はみどり市19件、桐生市6件、日光市の12件中に第二渡良瀬川橋梁と第一松木川橋梁が含まれました。
 その他の、日光市内(旧足尾町)の登録物件は次のとおりです。
 @ 足尾駅本屋および上り線プラットホーム{大正元年(1912)}
 A 足尾駅貨物上屋およびプラットホーム{大正元年(1912)}
 B 足尾駅下り線プラットホーム{大正元年(1912)}
 C 足尾駅手小荷物保管庫{昭和10年(1935)}
 D 足尾駅危険品庫{大正3年(1914)}
 E 渋川橋梁{大正元年(1912)}
 F 通洞駅本屋およびプラットホーム{大正元年(1912)}
 G 通洞橋梁{大正元年(1912)}
 H 有越沢橋梁{大正元年(1912)}
 I 笠松トンネル{大正元年(1912)}

側 面 図


橋 脚 図(わたらせ渓谷鉄道樺供)
 素朴で建造当時の味わいをもつ、円形開口部のある切石積の橋脚。


足尾時代に活躍した、C12型蒸気機関車                   (足尾郷土誌)

建造銘板
(東京石川島造船所。明治四十四年製作)
案 内 図
所 在 地    
管 理 者     
建設時期    

用途・目的
規   模     
日光市足尾町切幹(渡良瀬川)
第三セクター・わたらせ渓谷鉄道
大正元年(1912)12月13日開通
{明治44年(1911) 製作
鉄道橋(わたらせ渓谷鉄道、原向〜通洞間)
橋長・単複の別:104.85m 単線
径間数・支間長:@ 2×46.939m、A 1×9.601m
形式:上部工 @下路平行弦プラットトラス橋(ピン結合)
          A上路プレートガーダー

    
下部工 切石造、基礎コンクリート巻立て

参考文献
足尾郷土誌・足尾郷土誌編集委員会
JR東日本の歴史的建造物・JR東日本歴史的建造物調査委員会
鉄の橋百選(近代日本のランドマーク)・成瀬輝男

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