蟇沼用水(取入口)


蟇沼用水新旧取入口
(右から明治33年、大正7年、昭和54年完成)
 蟇沼用水取入口は、大蛇尾川・小蛇尾川の合流点のすぐ下で、立石というところから水を取っています。
 用水の開削は慶長年間(1596~1615)といわれ、那須野ヶ原で最も古い用水といわれています。
 当初は5ヵ村(蟇沼・折戸・上横林・接骨木)の飲用水としたもので、その後、石林村{那須塩原市(旧西那須野町)}まで延長され、さらに明和8年(1771)には、大田原藩によって大田原城下まで引かれました。途中、乃木将軍をまつった乃木神社境内を流れ、参拝者はここにかかる小さな橋を渡ることになります。
 明治33年(1900)の大改修で 取入口を上流に移し、二つの素掘りトンネル取入口(現在の位置)をもうけ、この時地元の郡司鶴吉が測量に携わったといわれています。
 昭和54年(1979)には那須野ヶ原総合開発の一環として、取入口・水路が改修され、近代的な頭首工が並んでいます。
 取入口周辺は静かな空気と深い緑に囲まれ、夏場は水遊びやバーベキューを楽しむ家族連れなどでにぎわっています。


明治33年(1900) 取入口「2つの素掘トンネル」完成

昭和54年(1979) 現在の蟇沼頭首工完成


改修前の蟇沼頭首工
(水を求めて―那須野ヶ原総合開発―)

水路つけかえ工事の記念碑
(明治34年3月 建立)

乃木神社の境内を流れる蟇沼用水
 蟇沼用水は乃木将軍をまつった乃木神社境内の本殿と駐車場の間を流れ、参拝者はここにかかる小さな橋を渡ります。
 神社の東側には「静沼」がありますが、この水は蟇沼用水を引いたものです。
(「那須野ヶ原の疎水を歩く」から抜粋)



所在地
管理者
建設時期

那須塩原市蟇沼(取入口・蛇尾川)
那須野ヶ原土地改良区連合
〇慶長年間(1596~1615) 最初は接骨木堀として開削(素堰堀とも呼ばれる)・取入口「立石」(素堀堰)
〇年不詳 石林村まで延長(蟇沼堀)

〇明和 8年(1771) 大田原城下まで延長(大田原用水とも御用堀とも呼ばれる)
〇天明年間(1781~1789) 大改修・取入口「赤石」に変更(赤石堰)
〇明治33年(1900) 流路変更・取入口「2つの素掘りトンネル」完成
〇大正7年(1918) 取入口改修手動式、捲上機付水門完成
〇昭和54年(1979) 現在の蟇沼頭首工完成
用途・目的
規 模
創設当時:飲用水、後に開田
現在の頭首工:コンクリート・フイックスドタイプ
堤高 2.45m・堤長 40.90m
取水量 2.24㎥/s


案  内 図


参考文献
栃木県土地改良史・栃木県土地改良事業団体連合会
那須野ヶ原の疎水を歩く・黒磯の昔をたずねる会


目次に戻る 次は日光第二発電所へ