細尾発電所


 最大落差 221.69mある発電所(内部に建設当時の唐草模様の壁が残っています)

 古河鉱業㈱(現在の古河機械金属㈱)は、足尾銅山の動力電化のため、明治23年(1890) 12月、足尾に間藤水力発電所(90kw)を建設しました。自家用発電所としては、宮城紡績(宮城県仙台市)、下野麻紡績(栃木県鹿沼市)に次ぐ全国三番目に古い歴史ある発電所です。
 その後、銅山の急速な発展と日光電気精銅所の建設に伴って、急増する自家用電力の需要を満たすため、さらに有利で豊富な水利地点を求めて、明治39年(1906)日光町細尾に細尾第一発電所を建設し、次に、明治43年(1910)には細尾第二発電所を建設しました。後に、第一発電所を移転し、第二発電所と合併して、細尾発電所と名称を変更しました。以来、大谷川上流部に発電所を開発し、上流から順に馬道・背戸山・細尾・上の代の4発電所があります。
 水源は中禅寺湖の水を華厳滝直下から取水し、さらに、年間流量の変わらない白雲滝・般若滝・方等滝からも取水していることから効率の良い安定した操業を行っています。
 発生電力は、足尾地区の当社足尾工場で自家消費するほか、日光地区の古河電気工業㈱及び東京電力㈱に供給しています。


華厳渓谷に咲く“やしお”は感嘆の極まり
(平成12年5月15日 撮影)
華厳ダム

張石重力式コンクリートダム
堤 高  : 3.20m
堤頂長 : 28.30m
土砂吐水門:高さ2.85m×幅4.20m 1門
大正13年(1924)建設

馬道ダム

重力式コンクリートダム
堤 高  : 10.00m
堤頂長 : 38.00m
土砂吐水門 : 高さ3.10m×幅2.70m 2門
昭和12年(1937)建設

越流曲面を流れ落ちる水はとても美しい

明治39年(1906)に建設した、細尾第一発電所の建屋


細尾発電所に保存されているペルトン水車
昭和10年 富士電機㈱製作



間藤発電所(当時は間藤原動所)
 足尾が誇る近代産業遺産の一つ。現在は、道路脇にリベット接合の水圧鉄管が一部残っていますが、昔の面影はありません。
 電力は、坑内排水・立坑捲揚機・坑内電車・電灯等に利用し、銅山近代化の原動力となりました。
      (目で見る足尾の百年)

所 在 地 
管 理 者 
建設時期 


用途・目的
規    模 

日光市細尾

古河機械金属㈱
明治39年(1906)12月 細尾第一発電所 発電開始
明治43年(1910) 7月 細尾第二発電所 発電開始
昭和11年(1936) 7月 合併し、細尾発電所となる
水力発電
形 式 : 水路式
発電所最大出力 : 15,700kw
最大有効落差 : 1号 217.63m
            2号 221.69m
最大使用水量 : 8.35㎥/s
案 内 図


参考文献
創業100年史(古河鉱業(株))・(財)日本経営史研究会

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