県庁堀


 市民のやすらぎの場になっている県庁堀。ニシキ鯉が泳ぐ向こうに大正時代の栃木市役所別館が見えます。
 明治4年(1871)の廃藩置県後、下野国の諸藩は宇都宮県と栃木県に統合されました。このうち栃木県の初代県令には鍋島貞幹が就任しました。彼は県庁舎を薗部村(現栃木市)に建てましたが、その時県庁の敷地のまわりにこの堀を掘らせたほか、巴波川に通じる漕渠をつくって、県庁の庁舎に直接舟が着けるようにしました。この初代県庁舎は、明治5年(1872) 11月に落成しました。
 その後、明治15年(1882)ごろより、県庁を宇都宮町へ移転する運動が急速に展開され、翌年、三島通庸の栃木県令赴任を機に具体化し、明治17年(1884) 9月に現在の地に三層の近代的な県庁が建てられました。
 県庁の跡地は、現在栃木市役所、県立栃木高校、市立第二小学校の敷地となっていますが、この堀は、今も昔のままの姿を残しています。
 栃木市は、庁内に市庁舎建設を含めた県庁堀周辺整備について検討していますが、具体化までにはかなりの時間を要するものと思われます。

(上)栃木市役所別館
(旧栃木町役場庁舎)
構   造:木造2階建・瓦葺
建築面積:575u
大正10年(1921)11月竣功
平成10年(1998)9月2日、国の登録有形文化財に登録(第09-0011)
県庁堀際に建立された、文豪山本有三文学碑
 山本有三が学んだ栃木高等小学校、現在の栃木第一小学校の隣接地にあります。
(下)県庁堀(附)漕渠
栃木県指定文化財(史跡第51号)
平成8年(1996)8月12日指定
県庁堀周辺
 写真右の道路沿いに見えるのが県庁堀。写真手前から栃木第一小、市役所、次いで同第二小、栃木高。写真手前、市役所の隣の洋風建築が木造二階建ての旧町役場庁舎。
 後方の栃木高の敷地内には「栃木高校講堂」(左)と「記念図書館」が残っています。この建物は国の登録有形文化財に登録されています。           (下野新聞社 提供)

明治6年の県庁(栃木町)
 [栃木市 片岡惟光氏提供(栃木県史 史料編、近現代 一)]
明治17年の県庁(宇都宮町)
 [宮内庁書陵部図書室所蔵(栃木県史 史料編、近現代 一)]

  県 庁 堀   明治10年頃
    (目で見る栃木市史)


案内図
在 地     
管 理 者     
建設時期    
 

用途・目的
規    模     


栃木市入舟町
栃木市
明治 5年(1872)11月県庁舎落成。
 県庁堀も同時期につくられたものと思われる。
運河
総延長:1,260m 幅:5.5m
 現在の市役所、第二小学校、栃木高校を囲むように残っている。
 堀にはニシキ鯉の群れが、清流の中を 生き生きと泳いでいる。

参考文献
栃木県史・栃木県史編さん委員会
とちぎ学事始・栃木県企画部広報課

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