宇都宮市戸祭配水場


水道山の戸祭配水場[外壁は煉瓦アーチが連続し、開口部は木扉の特長あるデザイン](土木学会選奨土木遺産)
 宇都宮市の市街地を南に望む高台にある戸祭配水場は、“水道山”の愛称で親しまれてきました。
 大正2年(1913)に着工し、大正5年(1916) 3月から給水を開始した水道創設当時からの施設です。
 今市浄水場から戸祭配水場まで日光街道に埋設された送水管は26㎞、また、高低差が240mもあるため、管路の水圧を弱めるため途中6ヶ所に接合井が設けられました。このうち、第一接合井から第五接合井までは、上屋の改築をしましたが、第六接合井は創設当時の姿を今も残しております。
  土木学会は平成17年度(2005)の土木学会選奨土木遺産に選びました。県内受賞は晩翠橋(本ホームページ掲載)に次ぐものです。
 現在は、今市浄水場からは送水されておらず、松田新田浄水場から自然流下方式で旧配水池をポンプ井(調整池)として使用しています。
 その長い水道史のうちには、昭和20年(1945)7月第二次世界大戦の戦災を受け、水道庁舎をはじめ、市内給水施設全般にわたり大きな被害を受けた歴史があります。
 平成6年(1994)から将来の水需要に対応するとともに、高水準の水道の構築を目指して、第6期拡張事業に着手しました。戸祭配水場においては、平成 8年(1996)10月に高架水槽が完成し、近隣高台団地群に 自然流下方式による安定した給水ができるようになりました。
 国の文化審議会は平成18年(2006)6月16日、戸祭配水場配水池と第六接合井を国登録有形文化財に登録するよう小坂文部科学相に答申しました。今回の答申により、県内の国登録有形文化財(建造物)は159件となります。


高架水槽


煉瓦造の旧配水池の内部(国登録有形文化財に答申)

 墳丘上に建つ第六接合井は、ゴシック調のアール・デコ様式で、地元産の大谷石を基礎に使用した八角形の煉瓦積上屋は、創設当時の姿を今も残しています。(土木学会選奨土木遺産)(国登録有形文化財に答申)

創設当時の第六接合井
 接合井は、その上下に制水弁を取り付け、送水管の水圧を弱めるためにつくられました。(写真でつづる宇都宮百年)



日光街道の送水管敷設工事
 今市浄水場から戸祭配水場までの26kmには、送水のため直径14~18インチ(1インチ=2.5センチ)の鉄管を埋設しました。(市制施行二十年記念写真)
大正5年(1916)当時の水道部庁舎
 建物は、ルネッサンス様式で主塔と副塔を有するスレート瓦ぶき、大谷石造りの2階建て、外壁はテラコッタ張りで赤茶に白線の斬新なデザインでありました。
(市制施行二十年記念写真)



所 在 地
管 理 者

建設時期
用途・目的
規   模








宇都宮市中戸祭町
宇都宮市
大正 5年(1916) 3月1日給水開始
上水道、配水場
高架水槽 : 水槽の高さ    39.6m
         水槽内径    13.4m
         全 水 深     29.5m
         全 容 量     4,100㎥
調整池(旧配水池) : 3,900㎥×2池
計画給水人口 : 17,000人
一日最大給水量 : 10,030㎥
案 内 図

参考文献
宇都宮市水道誌 完 ・宇都宮市役所
うつのみやの水道(通水70周年記念)・宇都宮市水道局総務課


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